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大阪高等裁判所 昭和37年(ラ)175号 決定

決   定

抗告人

西楠吉

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人の抗告理由は別紙のとおりである。

一、抗告人は、競売物件所有者であるから、競売期日の公告に賃貸借の記載なきことを、競落許可決定に対する抗告理由として主張し得ないのみならず、本件競売期日の公告に抗告人主張の賃貸借の記載のなされていることは、本件記録上明かである。

二、他の利害関係人に競売期日の通知なきことを、競落許可決定に対する抗告理由として主張し得ないのみならず、抗告人主張の抗告人と和田キシノ間の建物賃貸借が、本件競売の基本たる根抵当権設定登記後に登記された民法第六〇二条の期間を超える賃貸借であることは、本件記録上明かであり、和田キシノは競売法第二七条第三項所定の利害関係人に該当しない。

よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用の負担について民事訴訟法第八九条を準用し、主文のとおり決定する。

昭和三七年九月二五日

大阪高等裁判所第八民事部

裁判長裁判官 石 井 末 一

裁判官 小 西   勝

裁判官 中 島 孝 信

抗告理由

一、競売法に基く競売手続に於て民事訴訟法の規定に基き之を実施すべきであり之等の規定に違反して之をなすべきものでないことは明白なる事実であります。

一、然るに神戸地方裁判所尼崎支部は本件競売手続に於遵守すべき民事訴訟法第六百五拾八条第一項第三号の賃貸借ある場合には競売期日の公告に之等を記載すべきであるに不拘其の公告に之を記載せずして本件競売手続を続行し前記の如く昭和三十七年七月二十七日競落許可決定を為したるは明かに違法な手続であります。

一、また同裁判所は本件物件に対し昭和三六年三月十四日受付第四四弐八号を以て為したる賃借権設定登記の賃借人和田キシノに対し競売期日の通知を為さずして本件競売手続を続行し前記の如く競落許可決定を為したるは之亦違法なるものと云はさるを約束せんので

茲に抗告の申立を為す次第であります。

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